コンビニ人間〜オーディブルで聴いた感想です
本を読む時間がなかなか作れないので、キルトを作りながら音声配信を聴いています。
Youtubeでは、青空文庫を朗読している朗読カフェというチャンネルを登録しています。
オーディブルというのは、Amazonの音声での読書サービスです。
5年くらい前に契約しましたが、今年の春頃からは月額1500円でほとんどの読みたい本を耳で書くことができます。
ながら聞きなので、あまり頭には入ってきていませんが、ミシンをかけている時にラジオ代わりに流して楽しんでいます。
コンビニ人間は、作者のこともあらすじも知らぬまま聴きました。
タイトルからは、コンビニに足繁く通っている人の話かな?とか、
あるいは、コンビニエンスな人間、つまり手間がかからず重宝で好都合な人の話だろうか?なんて
少しのひねりもない想像をしていました。
もちろん、全く違っていました。
コンビニで働く、というか、コンビニでしか働けない、もっといえば、コンビニで働くことに適応している、不特定多数ではない個人のお話でした。
コンビニエンスストアで働くのはそれほど難しくはないのでしょう。
勤務時間に制約がある学生や主婦の手軽な仕事先でしょうし、近頃は私のようなシニアもよく見かけます。
売り込みには出かけず、店でお客を待っているのですから、マニュアル通りに行えば特別なスキルは必要なさそうです。
だから世間は、コンビニでしか働けないことを頭から無能と決めつけている。
しかし聞くうちに、コンビニでしか働けなくて、何が不都合だろう?という気持ちになります。
それどころか、コンビニの業務が楽しくやりがいのある仕事に思えてきます。
彼女は、誰かの口真似をして、誰かの気持ちになりすまして、世間を渡って行きます。
彼女自らの思考に基づく行動が世間に受け入れられないことを知っているからです。
おそらく、彼女は社会に適応できないなんらかの障害がある、ということでしょう。
それを仄めかしてあるだけなのは、著者自身がそれを病気や障害と捉えていない故なのか…
彼女はコンビニで働いてさえいれば幸福であるどころか、コンビニで働かなくては生きられないほど、コンビニに適応しました。
それは抗いようのない彼女の真実です。
周りの人たちは大真面目に、彼女に指南や説教をするけれど、恐ろしくみな同質です。
彼女は自らの意志を通して再びコンビニで働くことを決めました。
そうなんですよね…瑣末なことはどうでも良いのです。
最も大切なことだけ守れば、人生はバラ色に違いありません。
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