ふつうの暮らし〜シニアな毎日

シニアのふつうの暮らしを綴ります

母の日に寄せて

母には四人の娘がいます。

その四人がそれぞれ母に対してどんな感情を抱いているか…



それらについて語り合ったのは、退職して数年後気力も体力も目に見えて落ちた母が、四人の娘に息子夫婦の愚痴を延々こぼすようになってからでしょうか…



気丈で真っ正直で働き者で、おしゃれで茶目っ気もある母は、自信に溢れ娘たちの前に君臨していました。



人の悪口や愚痴は大嫌いと豪語していたのに、何という体たらく、母はきっと、理想のお姑さんになると信じていたのに。



私たちは、時に母に説教をしました。


それは一方的な見方ではないか、事実と想像は分けて考えなければいけない、人の行為を悪意に受け取るものではないなどなど、これら全て母が教えてくれたことです。



ところが母は、冷たい娘だ、こんな酷いことを言われるとは思わなかった、死んだ方がマシだと泣き出すのです。



私たちは疲れ果て、母のいないところで話し合いました。



母について姉妹で語り合ったことがなかったので、それぞれがどう思っているのかお互い知りませんでした。 



そうしたら出てくるわ、出てくるわ…



母に対する幼い頃からの積年の恨み辛みが。



私は男児ばかり三人産んで良かった!と思いました。

弟はひとり母を庇うからです。



それで、ある時期に於ける娘たちの"母の評価"は著しく下落しました。



精一杯育ててくれていると思っていたのに、勘違いに過ぎなかったのか?

私たちはしょんぼりしました。




けれども、それから数年して、いよいよ自転車で出歩くのも困難になり、退職後に喜んで通っていたアルバイトも辞めざるを得ず、通う病院や薬の量が増えてくると、三番目の妹を中心に私たちはぐっと、母に優しくなりました。



積年の恨み辛みも、言動と行動が伴わないのも、自己評価が高すぎるのも、どうでも良いことに思えてきました。



それよりも、穏やかな最期を迎えてほしいのです。



四人の娘と息子を授り幸せな人生だったと振り返らせてあげたい…母が未だ見続けている夢をそのままに。



そう、終わり良ければすべて良しなのですから。





母に良く似合う口紅の色のバラ